バレエというと柔軟性やテクニックが大切なイメージがありますが、美しい姿勢や安定した動きを身に付けるためには、体幹も欠かせません。
バレエを始めた子どもが、「バランスが崩れやすい」「ポーズが安定しない」と感じる場合、その原因のひとつに体幹の弱さが関係していることもあります。
そこでこの記事では、バレエにおける体幹の役割や、体幹を鍛えるために自宅で取り組めるトレーニング法、さらに継続するためのコツについて、わかりやすくご紹介します。
JPCスポーツ教室 お近くの教室を探す目次
バレエに体幹が必要な理由
バレエの上達のためには安定した体幹が必要となり、動きの安定や美しさに大きく関わってきます。
ここでは、体幹が体のどの部分を指すのかを整理したうえで、バレエとの関係について解説します。
体幹とはどこを指す?
体幹とは、頭部と手足を除いた体の中心部分のことで、主にお腹周りや背中、腰まわり、お尻などを指します。
これらの部分には大きな筋肉や関節が集まっているため、体を支える土台として重要な役割を担っています。
姿勢を安定させるだけでなく、立つ・座るといった日常の動作や、スポーツにおいてスムーズな動きをするために、体幹は欠かせません。
バレエにおける体幹の役割
バレエでは体の軸をしっかり保ちつつ、その他の部分は余分な力を抜いて動かすことが基本ですが、この状態を維持するには体幹の安定が欠かせません。
体幹が安定していると体のぶれが抑えられることで、ポーズや回転動作が安定しやすくなり、動きの美しさやしなやかさにつながります。
また、バレエは足の動きが多い分、体の軸が不安定だと全体のバランスが崩れやすくなります。
特に成長期の子どもは、体の大きさや重心が成長するにつれて変化していくため、これまでできていた動きが不安定になることも少なくありません。
そのため、柔軟性だけに頼るのではなく、体幹で体を支える力を身に付けることが、長く安定して踊るために大切です。
また、体幹が整うことはバレエに限らずスポーツ全般において体のバランスの安定やケガの予防にもつながります。
体幹が十分に使えていない子どもの特徴
体幹が安定していない場合、体を十分に支えきれず弱い方向へ傾きやすくなり、バランスが崩れやすくなります。
また、疲れやすさを感じる場合も、体幹が影響しているかもしれません。
近年は運動の機会が減少していることから、体幹を十分に使えていない子どもが増えているともいわれています。
ここでは、体幹が十分使えていない場合にみられる主な特徴を解説します。
ポーズや姿勢が安定しない
体幹がうまく使えていない場合、不安定な姿勢として現れることがあり、片足に体重をかけて立ったり、壁によりかかるといった様子がみられる場合は注意が必要です。
これらは、体幹が十分に使えていないために、支えきれない分を他で補おうとしてバランスをとっている状態です。
背中が丸まる猫背や、反対に反り腰になるのも、重心が安定していないことが原因である可能性があります。
バレエではアラベスクやアティテュードなど、特に片脚のポーズでみられ、前後左右に身体がぶれやすく、姿勢を保つことができません。
また、回転の際に軸が安定しなかったり、軸足に体重を乗せきれず、膝が曲がるなどの崩れが見られることもあります。
疲れやすい
体幹が十分に使えていないと、バランスを取ろうとして首や肩に余計な力が入りやすくなることで動きが固くなり、無駄な力を使ってしまいます。
特定の部位に負担が集中しやすくなることが、疲労を感じやすくなる原因のひとつです。
レッスン後半になると動きやポーズが崩れやすい場合も、体幹の弱さが影響している可能性があります。
体全体の連動がうまくいかない
体幹が弱いと、体の動きがスムーズに連動していないため、手足だけで動いているように見え、体全体でダイナミックに表現することが難しくなります。
また、バレエ特有の「体を引き上げる感覚」がつかみにくく、重心が下がったままの動きになることで、動きが小さく見えたり、安定感に欠けたりする原因になります。
バレエで意識したい体幹の筋肉は?
バレエにおいて美しい姿勢や安定した動きを保つためには体幹の筋肉がとても重要です。
体幹がしっかり使えるようになると、軸がぶれにくくなり、ターンやバランス、脚を上げる動きも安定しやすくなります。
ここでは、バレエで特に意識したい体幹まわりの筋肉について解説します。
体幹部(腹筋・背筋)
バレエの基本となるのが、体の中心を支える腹筋や背筋などの筋肉です。
主に腹直筋や腹斜筋、脊柱起立筋などがあり、姿勢を整えたり上半身を安定させるのに重要です。
中でも大切なのが、体の深い部分にあるインナーマッスルの腹横筋で、お腹周りをコルセットのように支え、体幹を内側から安定させます。
バレエにおいては、ただ腹筋を固めるのではなく、呼吸と連動させながらお腹を引き上げるように使うことがポイントで、バレエらしい美しい姿勢や軸のブレない動きにつながります。
骨盤・股関節・お尻まわり
骨盤や股関節まわりの筋肉、主に腸腰筋やお尻の筋肉などもバレエに重要です。
特に、腸腰筋や臀筋群(でんきんぐん)は、骨盤の位置を整え、脚をスムーズに動かす役割を持ちます。
これらの筋肉が適切に動くことで骨盤の位置が安定し、脚の可動域が広がり、無理なく脚を上げることも可能です。
バレエ初心者は足だけで動かそうとしがちですが、まずは骨盤まわりから整える意識を持つことが大切です。
内もも
内ももの筋肉である内転筋群は、骨盤の安定を助け、脚と体をつなぐのに重要な部分です。
バレエでは脚を外側に開く動きが多いため、外側の筋肉に意識が向きがちですが、内ももをしっかり使うことで体の中心が引き締まり、体の軸の安定につながります。
特に立ち姿勢や片脚バランスでは、内ももの使い方が安定感に大きく関わります。
脇・体側
腹斜筋や広背筋といった脇や体側の筋肉は、上半身のコントロールに大きくかかわり、体を引き上げる動きや左右のバランス調整という重要な役割を担っています。
これらの筋肉を上手く使えるようになると、上半身がしっかり伸び、腕を広げたときやポーズを取った時にも、より大きく美しいラインを表現しやすくなります。
自宅でできる体幹トレーニング5選
バレエ上達において体幹まわりの筋肉を少しずつ鍛えていくことは、美しい姿勢や動きのためにとても大切です。
ここでは、これまでに紹介した筋肉をバランスよく鍛えるために、子どもでも取り組める体幹トレーニングをご紹介します。
子どものうちから過度に負荷の高い筋力トレーニングをする必要はありませんので、無理なく続けられる基本的な動きを日常生活にも取り入れてみてください。
フロントブリッジ
フロントブリッジは、体の中心を支える感覚を身につけやすい、基本の体幹トレーニングです。
腹筋と背筋の両方をバランスよく使うため、バレエで大切な「軸を保つ力」を育てるのに役立ちます。
【フロントブリッジのやり方】
- うつ伏せになり、肘を肩の真下につく
- つま先を立て、体をゆっくり持ち上げる
- 頭からかかとまで一直線をキープする
腰が反らないようにお腹にしっかり力を入れ引き上げるような気持ちで行うのがポイントです。
呼吸を止めずに、10秒ほどを目安にキープしてみましょう。
バレエでは、アラベスクやアティテュードのポーズなど、片脚で立つポーズの安定にも役立ちます。
慣れてきたら姿勢を保ったまま、片方の足を膝の高さまで上げるアレンジにも挑戦してみてください。
さらに足の筋肉の強化になります。
サイドブリッジ
サイドブリッジは、体の側面にあるわき腹(腹斜筋)を鍛えるトレーニングです。
バレエにおいてまっすぐ立っている姿勢は、実はこうした側面の筋肉が体をしっかり支えることで保たれています。
【サイドブリッジのやり方】
- 横向きに寝て、肘を肩の真下につく
- 足を伸ばし、体を持ち上げる
- 肩から足まで一直線をキープする
わき腹で支えるイメージを持ち、体が前後に倒れないようにまっすぐ保つことを意識してみてください。
フロントブリッジに比べて、床と体が接している面が少ないため、バランス力を鍛えることができます。
バレエで上半身を引き上げたいときや、左右差を整えたいときにもおすすめです。
ダイアゴナル
ダイアゴナルは、体幹の安定とバランス感覚を同時に鍛えることができるトレーニングです。
骨盤まわりや背中、お腹の筋肉をやさしく使うため、まだ筋力が十分でない子どもでも取り組みやすいトレーニングです。
【ダイアゴナルのやり方】
- 手は肩の下、膝は股関節の下において四つん這いになる
- 右手と左足をまっすぐ伸ばす
- 元に戻し、反対側も同様に行う
背中が丸まったり反ったりしないように意識し、背骨を長く保つイメージで行いましょう。
手足を高く上げることよりも、体が揺れないことのほうが大切です。
左右10回ずつ程を目安に、ゆっくり丁寧に行ってみてください。
この動きは、骨盤を安定させながら手足を動かすため、バレエで手と足を別々にコントロールする感覚のトレーニングにもなります。
エアプレーン
エアプレーンは、背中とお尻の筋肉を鍛えながら、姿勢を支える力を高めるトレーニングです。
脚を開く感覚も意識しやすいため、姿勢の悪さが気になるお子さまにもおすすめです。
【エアプレーンのやり方】
- うつ伏せになり、足は腰幅に開く
- 手のひらは床に向けて腕を真横に広げる
- お腹に力を入れて、胸と手足を床から浮かせる
勢いで反るのではなく、お腹に力を入れ背中を長く使うように意識します。
膝とつま先は遠くに引っ張るようなイメージを持つと、全身が使いやすくなります。
はじめは5秒くらいを目安にキープしてみてください。
バレエでは、ジャンプの着地やポーズの安定にこの背中の力が欠かせません。
ヒールダウン
ヒールダウンは、ふくらはぎや足裏の感覚を意識しながら内ももも鍛えられるトレーニングで、バレエの基本である立つ力を養いたいときにおすすめです。
【エアプレーンのやり方】
- 真っすぐに立って膝を伸ばす
- かかとを高く持ち上げる
- ゆっくりとかかとを下していき、床の直前でとめる
膝をまっすぐ伸ばしつま先はまっすぐ前に向けて行い、ふらつく場合は、壁や椅子を軽く支えにしても大丈夫です。
まずは10〜15回程を目安にはじめてください。
バレエに必要な、床を押して立つ感覚や、足の先の筋肉を強化することができます。
トレーニングの効果を高めるコツと注意点
トレーニングをしていても、適切なやり方でなければ十分な効果が得られないうえに、無理に続けようとするとモチベーションが下がってしまいます。
ここでは、子どもが体幹トレーニングを行う際に効果を高めるコツと、注意点を解説します。
トレーニングの頻度と目安
体幹トレーニングは、週に2〜3回ほどを目安に行うのがおすすめです。
慣れてきたら1日おきに行ったり、回数を少し増やしても問題ありませんが、大切なのは、無理のないペースで継続することです。
特に子どもの場合は、その日の体調や気分に左右されることも多いと思いますが、毎回完璧にできなくても、少しずつでも続けられることを意識して行うと、取り組みやすくなります。
正しいフォームを意識する
体幹トレーニングでは、体の奥にあるインナーマッスルを意識して鍛えることが重要です。
狙っている筋肉にしっかり効かせることで、トレーニング効果が高まりますので、常に正しいフォームを意識しながら取り組んでください。
例えばプランクでも、肩が上がっていたり、背中が丸まった状態で行うと、本来使いたい体幹の筋肉にうまく力が入らなくなってしまいます。
また、呼吸を止めると体に余計な力が入りやすくなるため、できるだけ自然な呼吸を続けながら取り組むようにしましょう。
続けやすい工夫をする
体幹トレーニングは継続することが何より大切ですので、無理なく日常に取り入れる工夫をしてみましょう。
特に子どもの場合は、トレーニングの時間を決めてしまうより、遊びの合間に取り入れた方が続けやすいこともあります。
例えば、フロントブリッジをテレビのCMの間に行ったり、ドライヤーの時間にヒールダウンを取り入れるのもおすすめです。
短時間で集中して取り組むことで、飽きずに効率よく続けることができます。
また、音楽が好きな子どもの場合は、好きな曲を流しながら気分を上げて行うのも効果的です。
曲の長さを時間の目安にすることで、時間管理もしやすくなり、保護者も声をかけやすくなります。
無理をしない
体幹トレーニングは無理をして続けてしまうと、逆効果になることがあります。
特に、腰を反らせたり無理な姿勢で続けたりすると、体に余計な負担がかかってしまいます。
体に痛みや違和感が出たら無理をせずに中止するようにしてください。
トレーニングの後は、お腹の前を伸ばすストレッチを取り入れると、筋肉の緊張を和らげることができ、疲労軽減にもつながります。
バレエは体幹強化で上達する?|まとめ
バレエには腹筋や背筋、骨盤周り、体側や内ももなど、体幹周りの筋肉をバランスよく使うことが重要です。
美しい姿勢やしなやかな動きを行うためには、体幹まわりの筋肉を少しずつ鍛えていくことも大切です。
体幹トレーニングを行う際は、週に2〜3回を目安に、正しいフォームで無理なく継続することで効果が高まります。
日々の積み重ねがバレエ上達につながるため、子どものペースに合わせながら、少しずつ体幹を強くしていってください。
JPCスポーツ教室 お近くの教室を探すあわせて読みたい関連記事
羽島本店
経歴
岐阜県内の幼稚園、保育園で体操指導員として2010年より10年間指導にあたり、現在JPCスポーツ教室羽島本店の指導員として在籍中。
SV(スーパーバイザー)として主に愛知エリア・九州エリアの店舗管理を行う。
資格
KOBA式体幹トレーニング Sライセンス
NESTA キッズコーディネーション トレーナー
子ども身体運動発達指導士

