「子どもの目が悪くなり、眼鏡やコンタクトを使い始めたものの、これ以上悪化させたくない」
「最近、授業中に黒板の文字が見づらそうにしている」
そんなお悩みを抱えている方のために、今「視力回復トレーニング」が注目されています。
スマートフォンやゲームの普及により、小学生や中学生の子どもの視力低下が進んでいる現代において、視力を守るための効果的なトレーニングは必須です。
本記事では、日常生活でもできる子どもの視力回復トレーニングについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
視力回復トレーニングとは?
視力回復トレーニングは、目の筋肉を鍛えて視力の改善や疲労軽減を目指すトレーニングのことです。
特に成長期で小学生くらいの子どもにとって、適切な視力回復トレーニングは視力の悪化を防ぐための重要な手段となります。
まずは、視力トレーニングの基本的な仕組みと、似たトレーニングである「ビジョントレーニング」との違いについて理解しましょう。
視力とスポーツの関係性
視力はあらゆるスポーツのパフォーマンスとも深く関係します。
例えば、卓球で速い球に素早く反応する動体視力や、バスケットボールでゴールとの距離感を認識する深視力に影響します。
視力が低下することで他の人より反応が一歩遅れてしまい、上記のパフォーマンスが十分に発揮できないケースもあるでしょう。これは小学生の子どもにとっても自信を失うきっかけになりかねません。
そのため、見る力を鍛える視力回復トレーニングは、スポーツで高いパフォーマンスを発揮する能力を養うためにも重要と言えます。
視力回復トレーニングとビジョントレーニングとの違い
視力回復トレーニングは、ピント調節機能を向上させることを目的としています。
一方、「ビジョントレーニング」は、視覚情報を脳が正確に処理できるようにするスキルを養うのが目的です。
例えば、小学生の学業やスポーツの集中力を高めるにはビジョントレーニングが効果的ですが、視力を直接改善するものではありません。
双方の違いを理解し、目的に応じたトレーニングを取り入れることが大切です。
トレーニングを始める前に、子どもの視力状態を正確に把握するための視力検査を受け、適切なトレーニング方法を選びましょう。
▼ビジョントレーニングの効果をもっと知りたい方はこちら
ビジョントレーニングとは?子どもの集中力や運動能力を高める方法
子どもが家庭でできる視力回復トレーニング
視力回復トレーニングを日常的に取り入れることで、筋肉をほぐし目の疲労回復や軽減効果が期待でき、視力の回復や悪化を防ぐことが期待できます。
ここでは、ご家庭で小学生になる前からでも日常生活に取り入れることができるトレーニング方法をご紹介します。
遠近体操法
遠くと近くを交互に見て目のピント調節力を鍛える基本的な視力回復トレーニングです。
- 顔の正面で腕を真っすぐ伸ばし、親指を立てて「グッド」の形を作る
- 視線を親指に合わせる
- 片目で親指を10秒見る
- 同じ目で遠くにある物を10秒見る
上記のトレーニングは、片目につき10セットを目安に行うのがおすすめです。
日常的に取り組むのはもちろん、長時間近距離を見て目が疲れた時、リフレッシュするのにも最適です。
遠くの一点を見つめるトレーニング
外眼筋を鍛え、ピント調節力を向上させるトレーニングです。
目の焦点を素早く調整できる力をつけるのに役立ちます。
- 窓から見える景色で目標物を決める
- スマートフォンを持ち、腕をまっすぐ伸ばす
- 目標物と自分の目の間にスマートフォンを持ってくる
- 目標物とスマートフォンを10秒ずつ交互に眺める
目標物はビル、電柱などの中で、なるべく遠くの物に設定すると良いです。
上記は小学生くらいのお子さまで集中力が続かない場合でも短時間でできるため、比較的続けやすいトレーニングとなっています。
動体視力トレーニング
眼球を動かす筋肉を鍛え、動体視力の維持や強化が期待できるトレーニングです。
電車や車に乗っている時に行なうと良いでしょう。
- 電車や車の窓から看板などの目標物を見つける
- 頭を動かさず、目だけで目標物を読む
多方向に視線を動かすことで、目の周辺筋肉をバランスよく鍛えることが可能です。
家族とのドライブで小学生くらいのお子様とも遊びながら視力回復トレーニングができます
まばたきトレーニング
まばたきを意識的に行い、適度に刺激を与えて目をスッキリさせるトレーニングです。
目の筋肉をほぐし、全体をマッサージしていきましょう。
- 左右交互に10回~20回程度リズムよくウインクする
- スピードを速めて10回~20回程度再びウインクする
- 目をギュッと強めに閉じて10回~20回程度ウインクする
- 両目を同時にギュッと閉じてパッと開くまばたきを3回繰り返す
まばたきトレーニングは、目の周りのストレッチとして表情筋をほぐすため、適度に行なうのがおすすめです。
家庭で小学生くらいのお子様と一緒に就寝前に試してみましょう。
眼球を回すストレッチ
眼球を動かし、動きを滑らかにするトレーニングです。
一点ばかりを集中して見て目の筋肉が硬くなった時に行なうことで、目をほぐしてくれます。
- 両方の目を大きな円を描くよう10秒ぐらいかけてゆっくり回転させる
- 右周りに2~3週する
- 左回りに2~3週する
- 寄り目にして5秒間キープする
ぐるぐると目を回す体操をすることで、目を効率的にリフレッシュさせることができます。
目をぐるぐる回すと気持ち悪くなるケースがあるので、その場合は目を閉じて行なうようにしましょう。
視力回復トレーニングの効果を高めるコツ
視力回復トレーニングはただ続けるだけでなく、ちょっとした工夫や意識の持ち方で効果を高めることができます。
ここからは、日常の中で取り入れられる視力回復トレーニング効果アップのコツをご紹介します。
1日5〜10分でも視力回復トレーニングを継続する
視力回復トレーニングは短時間でも毎日継続することが大切です。
1日わずか5〜10分でも、視力回復トレーニングを習慣化することで眼の筋肉が少しずつ鍛えられ、視力の維持・改善が期待できます。
特に子どもは日々の生活で近くを見る時間が多く、眼の筋肉がこり固まりやすいため、短時間でもこまめにトレーニングをすることが効果的です。
ご家庭で時間が取れない日でも、テレビCMの合間や休憩時間、寝る前の数分など、生活の中に「ちょっとした視力トレーニングの時間」を組み込むと長続きしやすくなります。
親子で一緒に取り組むことで、楽しみながら習慣化でき、継続へのモチベーションも高まります。
一日数分でも効果があることが確認されている
桃山学院大学が奈良市内の小学校で実施した研究では、「眼精疲労改善トレーニング(毛様体筋と眼筋のストレッチ)」を毎朝3分間、約2か月間にわたり小学生が継続しました。
その結果、近見視力が0.8未満だった小学生は実施後に有意な視力向上が確認されました。
特に小学1年生と3年生では効果が顕著で、低視力の改善に加えて視力低下の予防効果も示唆されています。
一方、もともと視力が0.8以上の小学生では有意な向上は見られなかったものの、2か月後も視力を維持できていたことから、予防的な効果があった可能性があります。
参考:桃山大学「眼精疲労改善トレーニングの効果に関する一考察」
定期的に見える化をする
視力回復トレーニングの効果を実感しやすくするためには、定期的に「見える化」することが大切です。
視力トレーニングの成果を月に1回程度視力測定を行ったり、記録表をつけたりして、お子さまの変化を確認しましょう。
小さな変化でも数値や記録として残すことでお子様だけではなく、ご家庭全体で達成感が得られ、継続のモチベーションが高まります。
視力回復トレーニングを行う際の注意点
視力回復トレーニングは正しく行えば効果が期待できますが、すべてのケースで視力が回復するわけではありません。
また、不適切な方法や過度な期待は逆効果になる可能性もあります。
そのため、安全かつ効果的にトレーニングを進めるためには、いくつかの重要な注意点を理解しておく必要があります。
ここでは、小学生の保護者の方が特に気をつけるべきポイントを解説します。
すべての視力低下が改善するわけではない
視力回復トレーニングはすべての近視や視力低下に効果があるわけではありません。特に軸性近視など眼の構造的な要因による視力低下は、改善が難しいとされています。
一方で、仮性近視や軽度の近視など、ピント調節機能の疲れやクセが原因の場合はトレーニングによって改善が期待できます。
さらに、近視だけでなく、軽度の遠視や乱視、初期の老眼、眼精疲労などにもアプローチできる場合があります。
まずは、小学生くらいのお子さまが視力低下をしたときに、どのようなタイプなのかを知ることが大切です。眼科で診断を受けたうえで、専門医のアドバイスに沿った適切なトレーニングに取り組みましょう。
即効性は期待できない
視力回復トレーニングは、日々の継続的な取り組みが前提とされています。
短期間で劇的な効果があらわれるのではなく、筋トレや運動と同じく、一定の期間をかけて少しずつ効果が現れるものです。
最初の数週間は大きな変化が感じられなくても、数か月〜半年と継続することで、徐々に見え方や目の疲れに変化が出てくるケースがあります。
重要なのは1日や2日で結果を求めず、無理のない範囲で日常生活の中に習慣として取り入れることです。
ご家庭で長期的な視点を持ち、お子様が「前より見やすくなった」と実感できる瞬間を目指しましょう。
眼科も受診する
視力回復トレーニングをしていても視力低下が進んでいく場合は、必ず眼科を受診してください。
視力ケアは視力トレーニングだけではなく、専門医の診断と指導を受けながら進めることが大切です。
また、定期的な眼科受診は、重大な目の疾患を早期に発見するためにも重要です。
視力低下はなぜ起こる?子どもに多い原因
子どもの視力低下の主な原因は、大きく分けて「遺伝」と「生活習慣」の2つと言われています
ここからは、それぞれの原因について詳しく解説します。
視力低下の原因1.遺伝による視力低下
視力低下の原因のひとつに、遺伝があります。
両親のどちらか、または両方が近視の場合には子どもも近視になりやすい傾向があるといわれています。
この子どもの視力低下は、目の形や網膜の構造などの親御さんからの遺伝的特徴が影響しているためです。
遺伝による視力低下は改善が難しいとされていますが、視力低下の原因は遺伝だけではありません。近年では生活習慣が大きく影響していると考えられています。
視力低下の原因2.生活習慣による視力低下
現代の子どもたちはスマートフォンやタブレット、ゲーム機などを使う時間が増えています。
こうした長時間の近距離作業は目のピント調節機能を酷使し、視力低下の大きな要因になるのです。
特に読書や勉強、ゲームなどで目と対象物との距離が近すぎる状態が続いてしまうと、目の筋肉が緊張したままになり、近視が進行しやすくなります。
また、暗い部屋での画面視聴や休憩を取らずに集中し続けることも目への負担を増大させます。
こうした生活習慣は遺伝による視力低下とは異なり、日々の心がけで改善・予防が可能です。
視力が下がらないように気をつけたいポイント
「視力回復トレーニングを続けているのに、思ったほど効果が出ない」という声も耳にしたことはありませんか?
効果が出ない要因として、日常生活での習慣がトレーニングの効果に影響を阻害している可能性も考えられます。
ここでは、より効果的なトレーニングを実践するために、日頃から注意してほしいポイントを解説します。
暗い場所でテレビやスマホを見ない
暗い環境での画面視聴は目に大きな負担をかけるため、できる限り注意することが大切です。
部屋を適切に明るく保ち、画面とのコントラストを軽減することで、目の疲労を予防できます。
お子様が寝る前に暗い部屋でスマホを使用するのは避けましょう。
本やノートとの目の距離を30cm以上に保つ
視力が下がらないように気をつけたいポイントとして、読書や勉強の際は、目と対象物との距離が近すぎないようにしましょう。
眼と対象物との距離が近いままだと、毛様体筋が緊張し続け、ピントを合わせる力が低下してしまう原因になります。
そのため正しい姿勢を意識して、30cm以上の距離を保ち、目の筋肉への負担を軽減しましょう。
適度に休憩する
長時間の作業が続くと目に疲れが溜まりやすくなります。
1時間ごとに10分程度の休憩を意識的にとり、目をリフレッシュさせましょう。
遠くを眺めることで、目の調節力を維持することができます。
視力回復トレーニングでよくある質問
視力回復トレーニングは手軽に始められるトレーニングです。
いざ視力回復トレーニングを取り入れようとすると「本当にメガネがいらなくなるの?」「子どもが嫌がったらどうすれば?」など、さまざまな疑問が浮かぶことも多いでしょう。
ここでは特によく寄せられる質問をピックアップし、わかりやすくお答えします。
Q:視力回復トレーニングでメガネが要らなくなりますか?
視力回復トレーニングは目のピント調節力を高めたり、疲れ目を軽減したりする効果が期待できますが、すべての人がメガネを不要にできるわけではありません。
特に軸性近視(眼球が物理的に伸びてしまうタイプの近視)は、トレーニングだけで改善することは難しいとされています。
ただし、成長期の小学生くらいの子どもでは視力低下の進行を抑えたり、仮性近視(毛様体筋の緊張による近視)を改善できる場合があるため、メガネが不要になる可能性がゼロではありません。
Q:子どもが視力回復トレーニングを嫌がるときはどうしたらいいですか?
子どもが視力回復トレーニングを無理にやらせるのではなく、楽しく続けられる工夫を取り入れることが大切です。
例えば好きな音楽を流しながら行う、タイマーを使って短時間だけ挑戦する、スタンプカードやシールで達成感を演出するなど、遊び感覚で取り組めるようにしましょう。
また、親子で一緒にやると「やらされている」感が減り、自然と習慣化しやすくなります。
お子さまとトレーニングを終えた後に少し褒めてあげることも、継続の大きな力になります。
Q:大人でも視力回復トレーニングは効果がありますか?
大人でも視力回復トレーニングの効果は期待できます。
ただし、成長期の小学生くらいの子どもに比べると視力の改善幅はやや小さくなる傾向があります。
大人の場合は長時間のパソコン作業やスマホ利用による眼精疲労の軽減といった効果が中心です。
特に仮性近視には有効で、日常生活での見え方が楽になるケースも多く報告されています。
視力の大きな回復を目指すというよりは、視力低下の予防や目のコンディション維持を目的に継続するのがおすすめです。
まとめ|視力回復トレーニングで子どもの視力低下を防ごう!
視力回復トレーニングは、子どもの視力低下を防ぐために有効な方法の一つです。
しかし、トレーニングの前提として、まずは視力低下の原因を理解し、生活習慣を見直すことも重要です。
さらに、専門医のアドバイスを受けながら進めることで、より安心して取り組むことができます。
また、視力だけでなく「見る力」全体を高めたい場合は、ビジョントレーニングも有効です。
JPCスポーツ教室ではビジョントレーニングを取り入れ、楽しみながら動体視力や空間認知などを鍛えることができます。これらは学習や日常生活にも良い影響を与えるとされています。
お子さまの健やかな目の成長を支えるために、ここで紹介した視力回復トレーニングに加え、ビジョントレーニングもぜひ取り入れてみてください。
JPCスポーツ教室 お近くの教室を探すあわせて読みたい関連記事
- ビジョントレーニングとは?子どもの集中力や運動能力を高める方法
- ドッジボールが運動神経の育成に役立つ理由!その他に鍛えられる能力も解説
- 鬼ごっこトレーニングが体幹・持久力強化につながる理由と練習法を解説!
- 海外にも運動会はあるの?日本の運動会との違いや珍しい競技を徹底解説!
- 【子どもの姿勢が悪い】姿勢が悪くなる原因と今すぐできる改善方法!
羽島本店
経歴
岐阜県立岐阜城北高校卒業後、中学硬式野球クラブチームの監督を2年間務める。(全国大会ベスト4)
現在JPCスポーツ教室の本部統括を務め、羽島本店の指導員として在籍中。
SV(スーパーバイザー)として主に関東エリアの店舗管理を行う。
資格
KOBA式体幹トレーニング Bライセンス
KOBA式体幹トレーニング Aライセンス
KOBA式体幹トレーニング Sライセンス








